バンカー越えでピンが手前に切ってある、グリーンの奥からピンに向かって下り傾斜になっている――こんな場面で「ランを出さずにボールを止めたい」と思ったことはありませんか。そんなときに頼りになるのがロブショットです。
ロブショットとは、ボールを高く上げて落下の角度で止めるアプローチショットのこと。「フロップショット」と呼ばれることもあります。プロの試合でフワッと上がったボールがピンそばにピタッと止まるシーンを見ると憧れますが、実はアマチュアゴルファーでも正しい手順を踏めば十分に習得できる技術です。
この記事では、ロブショットを打つために必要なクラブ選び・構え方・スイングのポイントを一つずつ分かりやすく解説します。練習場で試せるドリルや、ラウンドで使うべき場面の判断基準も紹介しますので、ぜひ最後まで読んでみてください。

ロブショットとはどんなショットなのか
ロブショットは、ボールを高く打ち上げてほぼ真上から落とすことで、着弾後の転がり(ラン)をほとんどなくすアプローチショットです。通常のピッチショットよりもさらに高い弾道が特徴で、着地後にボールが1〜2メートル以内で止まることを目指します。
ピッチショットとの違い
ピッチショットは通常のロフト角でボールを上げるショットですが、ロブショットはフェースを大きく開いてさらに高い弾道を生み出します。飛距離はピッチショットよりも短くなるため、近い距離でボールを止めたい場面に特化した技術といえます。
ロブショットが必要になる場面
- バンカー越えでグリーンエッジからピンまでの距離が短い場面
- グリーン上でピンに向かって下り傾斜になっている場面
- グリーン周りの深いラフからピンに寄せたい場面
- グリーンが硬くてランニングアプローチでは止まりにくい場面
ロブショットは「止めたい」場面で使うショットです。普通のアプローチで対処できるなら無理に使う必要はありません。状況判断が大切です。
ロブショットに使うクラブの選び方
ロブショットにはロフト角が大きいクラブを使います。具体的には、サンドウェッジ(56度前後)やロブウェッジ(58〜60度)が適しています。
サンドウェッジ(56度)で打つ場合
多くのゴルファーが持っているサンドウェッジでもロブショットは打てます。フェースを開くことでロフト角を60度以上にすることが可能です。バウンス角が大きめのモデル(12度以上)を使うと、フェースを開いたときにバウンスが地面を滑ってくれるため、ザックリのミスが減ります。
ロブウェッジ(58〜60度)で打つ場合
ロブウェッジを持っていれば、フェースを大きく開かなくてもある程度の高さが出せます。ただし、バウンス角が小さいモデルが多いため、芝の薄い場所ではリーディングエッジが刺さりやすい点に注意が必要です。

ロブショットのアドレス(構え方)のポイント
ロブショットは通常のアプローチとアドレスが大きく異なります。以下の5つのポイントを順番にセットしていきましょう。
1. フェースを開く
まず、グリップを握る前にフェースを開きます。時計の文字盤でいうと「1時」の方向を目安にフェースを右に向けてから、そのままグリップを握り直します。先にグリップを握ってから手首でフェースを開くのはNGです。インパクトで元に戻ってしまい、高さが出ません。
2. スタンスをオープンにする
ターゲットラインに対して左を向くオープンスタンスで構えます。フェースを開いた分だけ左を向くことで、ボールがターゲット方向に飛ぶように調整します。目安としては、足のラインが時計の11時方向を指すくらいです。
3. ボールの位置は左足寄り
ボールは左足のかかとの延長線上、もしくはスタンスの中央よりもボール1〜2個分左側に置きます。これによりスイング軌道の最下点でボールをとらえやすくなり、高い打ち出しが実現します。
4. 体重は左右均等から若干左足寄り
体重配分は左右5対5、もしくは左足6・右足4が基本です。通常のアプローチほど左足体重にする必要はありませんが、右足に体重が残りすぎるとダフリの原因になります。
5. グリップはやや短く握る
クラブを少し短く持つことで、コントロール性が上がります。指2本分程度短く握るのが目安です。
フェースを開くときは必ずグリップを握る「前」に開いてください。握ってから手首で開くと、スイング中に元に戻ってしまいます。
ロブショットのスイングの打ち方
アドレスが正しくセットできたら、あとはスイングです。ロブショットのスイングには3つの大切なポイントがあります。
ポイント1:スイング軌道はアウトサイドイン
オープンスタンスに構えているため、スタンスなりに振ると自然とアウトサイドインの軌道になります。ターゲットラインに対してカット気味に振り抜くイメージです。フェースが開いているのでボールは右に飛ばず、高く上がってターゲット方向に飛んでいきます。
ポイント2:加速しながら振り抜く
ロブショットでありがちなミスが、インパクト付近でスイングを緩めてしまうこと。フェースが開いている分だけ飛距離は落ちるので、通常のアプローチよりも大きな振り幅で、しっかりと加速しながら振り抜く必要があります。
距離感に自信がなくてスイングを緩めてしまうと、ザックリやトップのミスにつながります。「思い切って振る」ことがロブショット成功の秘訣です。
ポイント3:フォロースルーを大きく取る
フィニッシュまでしっかり振り切りましょう。フォロースルーでフェースが空を向いている状態が理想です。手首を返さず、フェースが開いたままの状態を維持してフィニッシュまで持っていくことが重要です。

ロブショットの距離感の合わせ方
ロブショットの距離感は、振り幅で調整するのが基本です。スイングスピードを変えて距離を調整しようとすると、インパクトが安定しなくなります。
振り幅の目安
| 振り幅 | 目安の飛距離(SW56度の場合) |
|---|---|
| 腰から腰 | 5〜10ヤード |
| 肩から肩 | 15〜25ヤード |
| フルスイングの8割 | 25〜35ヤード |
※飛距離はクラブのロフト角、フェースの開き具合、芝の状況によって変わります。練習で自分の基準を見つけることが大切です。
距離感を磨く練習方法
練習場で5ヤード刻みのターゲットを設定し、それぞれの距離に合った振り幅を体に覚え込ませましょう。同じ振り幅で10球連続して打つドリルが効果的です。距離のバラつきが2〜3ヤード以内に収まるようになれば、ラウンドでも自信を持って打てるようになります。
ロブショットを使うときの注意点
ボールのライを必ず確認する
ロブショットはボールのライ(地面の状態)に大きく左右されます。フェアウェイのように芝が短く硬い場所では難易度が上がります。リーディングエッジが地面に刺さりやすく、ザックリのリスクが高まるためです。
理想的なのは、やや柔らかいラフの上でボールが少し浮いている状態です。この状態なら、フェースの溝がしっかりボールに食いつき、スピンもかかりやすくなります。
硬い地面からは避ける
冬場のフェアウェイや雨上がりで硬くなった地面からのロブショットは、プロでもリスクが高いショットです。このような状況ではランニングアプローチやピッチ&ランに切り替える判断力も必要です。
ロブショットの使いすぎに注意
ロブショットはかっこいいショットですが、通常のアプローチで寄せられる場面であえて使う必要はありません。リスクとリターンを天秤にかけて、本当に必要な場面でだけ使うことがスコアメイクにつながる賢い判断です。
ラウンド中に迷ったら、ロブショットではなく安全なアプローチを選びましょう。「ここしかない」という場面で使えるように、練習で引き出しを増やしておくことが大切です。

自宅や練習場でできるロブショットの練習ドリル
ドリル1:タオルの上にボールを落とす練習
練習場で5ヤード先にタオルを置き、その上にボールを落とす練習をします。ボールがタオルの上に乗ったらOK。高さが出ていないとタオルの手前で着地して転がってしまいます。
ドリル2:片手打ち練習
左手だけでサンドウェッジを持ち、フェースを開いた状態で軽くボールを打つ練習です。手首の角度をキープしたまま振り抜く感覚が身につきます。
ドリル3:バンカーでの練習
バンカー練習ができる環境があれば、砂の上からロブショットを練習してみましょう。砂がクッションになるためザックリしにくく、フェースを開いて打つ感覚を養うのに最適です。
よくある質問(Q&A)
Q. ロブショットでトップ(ホームラン)が出てしまいます。原因は何ですか?
A. もっとも多い原因は、インパクト付近で体が起き上がることです。ボールを上げようとして頭や上体が早く起き上がると、クラブのリーディングエッジがボールの赤道付近に当たり、低い弾道で飛んでいきます。前傾角度をキープしたまま振り抜くことを意識してください。
Q. ロブウェッジは必要ですか?サンドウェッジだけでは不十分ですか?
A. サンドウェッジ(56度)でもフェースを開けばロブショットは十分に打てます。ただし、58〜60度のロブウェッジがあると、フェースをあまり開かなくても高さが出せるため、難易度は下がります。アプローチの引き出しを増やしたい方は1本追加を検討してみてもよいでしょう。
Q. ロブショットでスピンをかけるにはどうすればいいですか?
A. スピンをかけるためには、溝(グルーブ)がしっかり効いているウェッジを使うこと、ボールとフェースの間に芝や水分が入らないクリーンなライから打つことが大切です。また、ウレタンカバーのボールのほうがスピン性能が高い傾向があります。
Q. 初心者でもロブショットを練習すべきですか?
A. まずはピッチショットやランニングアプローチなど基本のアプローチを習得してからロブショットの練習に取り組むのがおすすめです。基本ができていないうちにロブショットを覚えようとすると、かえってアプローチ全体の精度が落ちることがあります。
まとめ
ロブショットは、ボールを高く上げてピンそばにピタッと止めるための実践的な技術です。打ち方のポイントを整理すると次のようになります。
- クラブはサンドウェッジまたはロブウェッジを使い、フェースを「1時」方向に開く
- オープンスタンスで構え、ボールは左足寄りに置く
- スタンスなりにカット気味のスイング軌道で振り抜く
- インパクトで緩めず、しっかり加速しながらフィニッシュまで振り切る
- 距離感は振り幅で調整し、スイングスピードは変えない
- ボールのライを見極め、硬い地面からは使わない判断力を持つ
練習場で繰り返し打つことで、フェースを開いた状態でのインパクトの感覚が身についてきます。コースで「ここぞ」という場面で自信を持って使えるよう、ぜひ練習に取り入れてみてください。
ロブショットの技術についてもっと詳しく知りたい方は、ALBA Netのロブショット解説ページや、ゴルフダイジェストのレッスン記事も参考になります。また、ステップゴルフのロブショット解説ではピッチショットとの違いも詳しく解説されています。


