パターの握り方を意識して変えたことはありますか?ドライバーやアイアンのグリップにはこだわるのに、パターの握り方は「なんとなく」で済ませているゴルファーは少なくありません。
実は、パターの握り方にはいくつもの種類があり、握り方ひとつで打感・方向性・距離感が大きく変わります。プロゴルファーの間でも握り方は多様で、タイガー・ウッズと松山英樹は同じ逆オーバーラッピング、ジョーダン・スピースはクロスハンド、フィル・ミケルソンはクロウグリップと、トップ選手でも採用するスタイルが異なります。
この記事では、パターの代表的な握り方を5種類紹介し、それぞれの特徴・メリット・デメリット・向いている人のタイプを詳しく解説します。自分のパッティングの悩みに合った握り方を見つけるヒントにしてください。

パターの握り方が通常のショットと異なる理由
ドライバーやアイアンでは「オーバーラッピング」「インターロッキング」「テンフィンガー」の3種類が一般的ですが、パターではこれらとは異なる握り方が推奨されています。その理由は、パッティングでは手首の動きを抑えることが重要だからです。
通常のショットでは手首のコックを使ってヘッドスピードを上げますが、パッティングでは手首を使うとヘッドの動きが不安定になり、距離感も方向性も狂いやすくなります。パター専用の握り方は、手首を固定しやすい構造になっているのが共通の特徴です。
パターグリップの種類1:逆オーバーラッピング
握り方の手順
通常のオーバーラッピングでは右手の上に左手の小指を乗せますが、逆オーバーラッピングでは左手の人差し指を右手の小指と薬指の上に乗せます。右手は通常通りグリップを握り、左手の人差し指だけが右手の上に出る形になります。
メリット
- もっとも基本的な握り方で違和感が少ない
- 両手の一体感が高くストロークが安定しやすい
- 距離感のコントロールがしやすい
デメリット
- 右手首が動きやすく、引っかけやプッシュが出ることがある
- プレッシャーのかかる場面で手首が暴れやすい人には不向きな場合がある
採用しているプロゴルファー
タイガー・ウッズ、松山英樹、ローリー・マキロイなど、多くのトッププロが採用しています。パターの握り方としてもっとも普及しているスタンダードな方法です。
パターの握り方に迷ったら、まずは逆オーバーラッピングから始めるのがおすすめです。基本の形を体に覚えさせたうえで、必要に応じて他の握り方を試しましょう。

パターグリップの種類2:クロスハンド(左手下)
握り方の手順
通常とは逆に、左手を下、右手を上にして握ります。左手がリードハンドになることで、手首の動きを大幅に抑制できます。グリップの持ち方自体は逆オーバーラッピングと同様で、手の上下だけを入れ替える形です。
メリット
- 右手首の動きがロックされ、ストローク軌道が安定する
- フォロースルーが真っすぐ出やすい
- 引っかけのミスが減る
- 肩のラインが水平になりやすく、アドレスが安定する
デメリット
- 最初は距離感がつかみにくい
- ロングパットで距離が出しにくいと感じることがある
- 慣れるまでに時間がかかる
採用しているプロゴルファー
ジョーダン・スピース、畑岡奈紗、宮里藍などが採用しています。近年はツアープロの間でも採用者が増えている握り方です。
パターグリップの種類3:クロウグリップ
握り方の手順
左手は通常通りグリップを握りますが、右手は指先だけでグリップをつまむように添えます。右手の甲を上に向け、人差し指と中指でグリップを挟むように持つのが基本形です。
メリット
- 右手の力が完全に抜けるため、パンチが入りにくい
- 距離感が繊細になり、タッチが向上する
- イップス(パッティングで手が動かなくなる症状)の改善に効果がある
デメリット
- 見た目に違和感があり、慣れるまで心理的な抵抗を感じやすい
- 右手のグリッププレッシャーが安定しにくい
採用しているプロゴルファー
フィル・ミケルソン、セルヒオ・ガルシアなどがクロウグリップの代表的な使い手です。

パターグリップの種類4:プレイヤーグリップ(合掌グリップ)
握り方の手順
両手のひらでグリップを挟むように、合掌するような形で握ります。指で握るのではなく、手のひら全体でグリップを包み込むイメージです。
メリット
- 両手の一体感が非常に高い
- 手首がロックされやすく、ストロークが安定する
- 太めのグリップとの相性が良い
デメリット
- フィーリング(繊細なタッチ)が出しにくい
- ロングパットの距離調整がやや難しい
パターグリップの種類5:アームロックグリップ
握り方の手順
パターのグリップエンドを左前腕に沿わせて固定する握り方です。通常よりも長いパター(長尺パターやセミ長尺パター)を使い、シャフトを左腕に密着させた状態でストロークします。
メリット
- 手首の動きがほぼ完全にロックされる
- ストローク軌道の再現性が非常に高い
- 方向性が安定しやすい
デメリット
- 専用のパター(長めのシャフト)が必要
- 距離感のコントロールに慣れるまで時間がかかる
- 通常のパターでは使えない
採用しているプロゴルファー
マット・クーチャー、ブライソン・デシャンボーなどが有名です。近年のPGAツアーで採用者が増えている注目の握り方です。
アームロックグリップを試す場合は、通常のパターでは長さが足りない場合があります。専用のパターまたはグリップ延長が必要になることがあるので、ショップで相談してみましょう。
自分に合ったパターの握り方の選び方
悩み別おすすめの握り方
| 悩み | おすすめの握り方 |
|---|---|
| 特に悩みがない・基本を固めたい | 逆オーバーラッピング |
| 引っかけが多い・右手首が動いてしまう | クロスハンド |
| パンチが入る・距離感が合わない | クロウグリップ |
| 手首が全く動かないようにしたい | プレイヤーグリップ |
| ストローク軌道を完全に固定したい | アームロック |
試し方のステップ
- まず練習グリーンで各握り方を10球ずつ試す
- 2メートルのショートパットで方向性を確認する
- 5メートル以上のロングパットで距離感を確認する
- もっとも「しっくりくる」握り方を1〜2週間使い続ける
- ラウンドで試して結果を確認する

パターグリップの太さも距離感に影響する
握り方だけでなく、グリップの太さもパッティングの精度に影響します。
細いグリップの特徴
フィーリングが出しやすく、繊細なタッチが求められるロングパットに向いています。ただし手首が動きやすいため、方向性が不安定になることがあります。
太いグリップ(スーパーストロークなど)の特徴
手首の動きが抑制され、ストロークの安定性が向上します。近年のPGAツアーではスーパーストロークなどの太めグリップの採用者が増えています。方向性を重視するゴルファーにおすすめです。
よくある質問(Q&A)
Q. 握り方を変えたら距離感が狂ってしまいました。元に戻すべきですか?
A. 新しい握り方に慣れるまでは距離感が狂うのは自然なことです。最低でも2週間は新しい握り方で練習を続けてから判断しましょう。すぐに元に戻すと、どの握り方も中途半端になってしまいます。
Q. ラウンド中に握り方を変えてもいいですか?
A. ルール上は問題ありませんが、ラウンド中に握り方を変えると混乱しやすいため推奨しません。練習で十分に試してから、ラウンドでは1つの握り方に統一しましょう。
Q. イップスに悩んでいます。どの握り方がおすすめですか?
A. イップスの改善には、クロウグリップが効果的とされています。右手の力が抜けるため、パンチが入りにくくなります。クロスハンドも利き手の影響を減らせるため、試してみる価値があります。
Q. パターの握り方を変えるとき、パター自体も変えた方がいいですか?
A. 必ずしも変える必要はありませんが、アームロックグリップの場合はシャフトの長さが重要になるため、専用のパターが必要になることがあります。その他の握り方であれば、今お持ちのパターで問題ありません。
Q. 太いグリップに変えると距離感が変わりますか?
A. グリップの太さを変えると、最初のうちは距離感が変わることがあります。太いグリップは手首の動きが抑えられるため、繊細なタッチが求められるロングパットでやや距離が合いにくくなる場合があります。ただし、1〜2週間練習を続ければ新しいグリップの太さに体が慣れ、距離感も安定してきます。
Q. パターのグリップ交換は自分でもできますか?
A. パターのグリップ交換は工具と両面テープ、グリップ交換用の溶液があれば自分でも可能です。ただし、パターはシャフトが細いモデルもあるため、サイズに合ったグリップを選ぶことが重要です。不安な場合はゴルフショップで交換してもらうのが確実です。工賃は1本500〜1,000円程度が相場です。
握り方を変えるタイミング
パターの握り方を変えるベストなタイミングは、シーズンオフやラウンドの予定がない時期です。握り方を変えた直後はどうしても違和感があり、ラウンドで結果が出にくくなります。少なくとも2週間の練習期間を確保してから、ラウンドで試すのが理想的です。
また、パット数が安定している時期にあえて変える必要はありません。「3パットが増えてきた」「ショートパットを外すようになった」など、具体的な悩みが出てきたタイミングで、その悩みに合った握り方を試してみましょう。
まとめ
パターの握り方は5種類あり、それぞれに特徴があります。
- 逆オーバーラッピング:もっとも基本的で万人向き
- クロスハンド:右手首を抑え、引っかけ防止に効果的
- クロウグリップ:繊細なタッチと距離感の改善に有効
- プレイヤーグリップ:両手の一体感を重視する人向き
- アームロック:ストローク軌道の再現性を最大化する方法
大切なのは「正解の握り方」を探すのではなく、自分の悩みを解決してくれる握り方を見つけることです。練習で複数の握り方を試し、もっともしっくりくるものを見つけてください。
パターの握り方についてさらに詳しく知りたい方は、ALBA Netのパターグリップ解説や、Honda GOLFの逆オーバーラッピング解説、チキンゴルフのパター握り方ガイドも参考になります。


