10メートルのパットで方向が1メートル右にズレたとしても、距離が合っていれば次は1メートルのパットが残るだけです。ところが距離が3メートルもオーバーしてしまったら、次に3メートルの難しいパットが待っています。
つまり、3パットを減らすために一番大切なのは方向性ではなく距離感なのです。方向が多少ズレてもスコアへの影響は小さいですが、距離が合わないと3パット地獄から抜け出せません。
この記事では、ロングパットの距離感を効率的に鍛えるための練習法をまとめました。練習グリーンで10分程度の時間があればできるものばかりなので、次のラウンド前からぜひ取り入れてみてください。
練習法1:カップ手前1メートル以内に止めるドリル
10メートル、15メートル、20メートルの距離から、カップの手前1メートル以内にボールを止める練習です。ここで重要なのは「入れようとしない」ことです。
カップに入れることではなく、「ゾーンに止める」ことだけに集中するのがポイントです。入れにいくと力みが出て距離感がブレやすくなりますが、「止めるだけ」と割り切ると不思議と力みが抜けて安定したストロークができます。
この練習を繰り返すと、ロングパットでも「大体あの辺に止められる」という感覚が育ちます。最初は10メートルから始めて、慣れたら15メートル、20メートルと距離を伸ばしていきましょう。

練習法2:ラダードリル(距離の階段を作る)
3メートル・6メートル・9メートル・12メートルの距離にティーやマーカーを置いて、順番にボールを打っていく練習です。
ルールはシンプルで、前に打ったボールよりも必ず奥に止めることです。3メートルの次は3メートルより奥、6メートルの次は6メートルより奥、というように「距離の階段」を作っていきます。
前のボールを越えられなかったら最初からやり直し。このルールがあることでプレッシャーのかかる練習になり、本番に近い緊張感が生まれます。
さらに効果を上げたい方は、12メートル→9メートル→6メートル→3メートルと逆順で戻ってくるパターンも試してみてください。距離を「短くする」方向の調整力が鍛えられ、打ち上げと打ち下ろし両方の感覚が磨かれます。
練習法3:目を閉じて打つドリル
騙されたと思って一度試してほしいのがこの練習です。カップまでの距離を目で確認したあと、目を閉じた状態でストロークします。
視覚に頼れない状況では、体の感覚だけで距離を打ち分ける能力が否応なく鍛えられます。バックスイングの振り幅やヘッドの加速感を体全体で感じ取る訓練になるのです。
最初の数球はびっくりするほど距離が合わないかもしれませんが、10球も打てば体が距離を記憶し始めて精度が上がっていきます。この練習法はプロも取り入れているもので、パッティングの「体感距離」を磨くのに非常に効果的です。
- カップまでの距離を目で確認する
- アドレスして構えたら目を閉じる
- そのままストロークする
- 打ち終わってから目を開けて結果を確認する

コース本番で距離感を合わせるコツ
練習で鍛えた距離感を実際のラウンドで発揮するためには、いくつかのコツがあります。
歩測で距離を数値化する
グリーン上でボールからカップまでの歩数を数える習慣をつけましょう。1歩をおよそ80センチ〜1メートルとして、距離を数値で把握します。
「大体5メートルかな」という感覚に頼るより、「6歩だから約5メートル」と数値化したほうが距離感は安定します。特にロングパットでは歩測の有無で精度が大きく変わります。
上り下りの距離調整
傾斜がある場合は距離の補正が必要です。基本的な目安は以下の通りです。
- 上り:実際の距離に10〜20%を加える(5メートルの上りなら6メートルのつもりで打つ)
- 下り:実際の距離から10〜20%を引く(5メートルの下りなら4メートルのつもりで打つ)
傾斜の補正を入れるだけで、ロングパットの距離感が格段に安定します。ALBAゴルフの記事にも上り下りの距離調整の詳しい解説が掲載されているので、参考にしてみてください。
ボールのスピードイメージを持つ
距離感を出すうえでもうひとつ有効なのが、ボールの「転がるスピード」をイメージすることです。カップまでどのくらいのスピードで転がっていくか、頭の中で映像を描いてからストロークに入ると、距離の出し方がより自然になります。
プロの多くがこのスピードイメージを重視しており、打つ前にカップまでのラインを何度か目でなぞる動作はこのイメージ作りの一環です。

距離感を安定させるストロークの作り方
距離感がバラつく大きな原因のひとつは、ストロークのリズムが一定でないことです。
おすすめは「イチ(バックスイング)、ニ(フォロースルー)」の一定リズムを体に染み込ませることです。距離の打ち分けはバックスイングの大きさで調整し、リズムは常に同じに保つのがポイントです。
リズムが不安定だと、同じ振り幅でもボールの転がる距離が毎回変わってしまいます。メトロノームアプリを使ってリズムを一定にする練習も効果的です。テンポは人それぞれですが、バックスイングからインパクトまでおよそ1秒が目安です。
ゴルフダイジェストのパッティングレッスンコーナーにも、リズム作りの参考になる内容が掲載されています。
距離感の練習を日常に組み込むコツ
距離感は一朝一夕で身につくものではありません。日常的に練習する環境を整えることが上達への近道です。
自宅にパターマットがあれば、毎日5〜10分の練習でも距離感の維持に効果があります。パターマットは3メートル程度の短いものでも、ストロークのリズムを整える練習には十分使えます。
練習グリーンが使える環境にいる方は、ラウンド前に必ず10分はロングパットの距離感練習に充てることを習慣にしましょう。その日のグリーンの速さに体を慣らすだけで、最初の数ホールの3パットを防ぐ効果があります。
練習グリーンとコース内のグリーンでは速さが異なる場合があります。特に朝露が残っている早朝スタートでは、前半のグリーンが遅めになることがあるので、ラウンドを通じて距離感を微調整する意識を持ちましょう。
Q&Aコーナー
Q. 距離感が合わないときは振り幅とインパクトの強さ、どちらで調整すべきですか?
振り幅で調整するのが基本です。インパクトの強さで調整しようとすると、手首に力が入ってストロークが不安定になりやすくなります。バックスイングの大きさで距離を決めて、リズムは常に一定に保つことを意識してください。
Q. グリーンの速さが変わると距離感がリセットされてしまいます。対処法はありますか?
ラウンド前の練習グリーンで、必ず5メートル以上のロングパットを何球か打って、その日のグリーンスピードに体を合わせる時間を作ってください。3球打つだけでもかなり違います。また、前半終了後の昼食時にパッティング練習をして午後の微調整をするのも効果的です。
Q. パターの種類によって距離感の出し方は変わりますか?
はい、ピン型とマレット型では打感やボールの転がり方が異なるため、距離感の出し方にも違いが出ます。ピン型はフィーリングで距離を出しやすく、マレット型は機械的に振り幅で距離を管理しやすい傾向があります。自分のパターの特性に合った距離感の出し方を見つけることが大切です。
Q. 3パットが多いのは距離感のせいか方向性のせいか、どう判断すればいいですか?
ラウンド中に3パットになったホールを振り返って、ファーストパットが「カップの左右にズレた」なら方向性の問題、「カップを大きくオーバーした、またはショートした」なら距離感の問題です。多くのアマチュアは距離感の問題で3パットしているケースが圧倒的に多いです。

まとめ:距離感を制する者がパッティングを制す
パッティングの距離感はセンスや才能ではなく、練習の積み重ねで確実に向上するスキルです。今回紹介した3つのドリル(ゾーン止め・ラダー・目閉じ)を練習メニューに取り入れるだけで、ロングパットの精度が見違えるように変わっていきます。
3パットが1ラウンドで3回減るだけでスコアは3打縮まります。地味な練習ではありますが、効果は確実に表れるので、ぜひ継続して取り組んでみてください。

